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それっぽく自分で書いてしまう無茶(←
※多分アンオフィは少なめです。
弓月蒼ST様の「Overture2011」リスペクトの創作物ですので、ご注意下さい。
☆Overture-Side:Lisette
●Lost Memory
『……ねぇ、どうしたの?』
あの日は、重苦しいほどに曇った日だった。
私が独りぼっちになった日のように。
屋敷の庭に、見知らぬ人が倒れていた。
『……お腹、すいてるの?』
その時は、カラスみたいにまっくろな髪と瞳が珍しくて。
『……必要ない』
そんな一言とは裏腹に、鳴り響くお腹の音がおかしくて。
『待ってて、すぐに何か持ってくるから』
……あぁ、あの時の私は、こんなにもまっしろだったんだ。
何色にも染まらず、ただまっすぐなしろいいろ。
――まだ、『ニンゲン』だった頃の私は。
『イノセントローズ』リゼット・ヴェルレーヌ(BNE001787)が、まだ世界を知らない頃。
まだ神様を信じていた少女が、一人の少年と出会った。
まだ二人が、『ニンゲン』であった日の話。
●Nightmare Down
独りぼっちの心を癒してくれる、友達もいた。
そばにいてくれる、家族もいた。
信じていた神様も……、いたはずだったのに。
――誰も来ない。助けてくれない。
まっしろなブラウスに滲む、まっかな血の色。
傷一つ無かった白い肌に、無数に刻まれる傷。
――痛いよ、苦しいよ。
じっちゃん、婆ちゃん、お姉ちゃん、……クソ親父でもクソ兄貴でも、誰でもいいから。
誰か、誰か助けてよ――
ただ逃げ、走る。助けを呼ぶ叫び声をあげながら。
――その悲痛な叫びすら、無情にもかき消すように。
細い首に、一閃が走った。
『……あ、あぁ……』
ぼたぼたと、命が零れていく。
温かかったはずの首から、熱が溢れ出していく。
――まっしろだった私は、その日、まっかに染まった。
ロザリオを握り締める。
神様、お願い。いつもお祈りしてるんだから、私を助けてよ。
神様は等しく誰もを愛してくれるんでしょ?
――どうして、私を助けてくれないの?
再び走る一閃。今度はもう、傷程度じゃ済まされない。
――神様も助けてくれない、……こんなせかいは、もういら――
全てを諦め、全てを呪ってしまう瞬間。
――鋭い金属音が、響き渡った。
はいいろの髪。ぎんいろの腕。大きな背中。
――それは神様でも何でもなく、ただの人間だった。
ぎんいろの腕に食い込む刃。
血は、流れていない。
『……それ、……痛く、ないのですか?』
気付いた時には、倒れていたのは強襲者。
金属の腕には、深々と刻まれた刃の跡。
『手当て、しないと』
振り向く瞳はこはくいろ。
――呟く言葉は、あの日と同じ。
『……必要ない』
――あぁ、そうだったのですか。
あまりに姿が変わってて、全然気付きませんでしたですよ。
――あの日の借りを、返しに来たのですか?
ふと戻る現実。見慣れたいつものブリーフィングルーム。
首に巻かれた、冷たいチョーカーに触れる。
傷を隠すのにもらったそれは、少女が付けるには余りに無骨すぎて。
神様を信じるのをやめた『悪魔』には、ロザリオを付けるには不似合いで。
――神様なんて必要ない。私は私で生きていく。――ニンゲンと一緒に。
だからぶら下げてやった。神様を大嫌いな証を。逆さまのロザリオを。
「……兄ちゃん、借りは確かに返してもらったですよ」
冷たいチョーカーは、あの日の記憶を優しく隠す。
ただ、二人だけが覚えていればいいように。
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……あぁ、参加したかったなぁ(ぽつり←